カレー屋SAKAIのスパイス日記

カレー屋を営むSAKAIが、プロ目線でカレーを語ります。

すべての日本人がうなずく美味しさ。洋食屋さんのカツカレーを食べるなら【キッチン南海】に行こう!カレー屋店主がおすすめする、全国のカレー屋さん①

どうも、SAKAIです!

 

 愛知県一宮市で、カレー屋「CURRY THE KITCHEN」を営みながら、レトルトカレーのネット販売も行っています。

 

 

 

今回は、全人類におすすめしたいカツカレーが食べられる、

キッチン南海さんをご紹介します!

 

 

 

キッチン南海ってどんな店?

 

カレー激戦区で絶大な人気を誇る洋食屋

東京都千代田区の神保町は、カレーと古本屋が集まる街。

カレー好きならば一度は行ってみたい名店が多く、遠くから足を運ぶ人も多いエリアです。

 

カレー屋店主の僕も、例外ではありません。

有名店の味を堪能しに何度も訪れた場所ですが、その中でも圧倒的な衝撃を受けたのが、「キッチン南海 本店」です。

 

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といってもこちらはカレー屋ではなく、老舗の洋食屋さん。

 

長いカウンターにはズラッと丸椅子が並んでいて、目の前にはコック帽をかぶった初老の男性が3人。

THE ALFEEのように貫録のあるシェフたちが、もくもくと仕事をしています。

 

奥には、実写版招き猫みたいなおじいちゃん。

店と一体化したかのようなたたずまいで、ゆっくりお会計をしてくれます。

嗚呼、古き良き洋食店

 

看板メニューは「カツカレー」

初めてこのお店を知ったのは、たしかテレビ番組だったと思います。

洋食屋さんなので、もちろん僕の作るスパイシーなカレーとは全然方向性が違います。

でも、なぜだかとても気になって、今から2年ほど前に訪れました。

 

一番人気の名物メニューは、カツカレーです。

実際に僕が食べたときの写真がこちら。

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く、黒い!!

 

この黒さは、炒めた小麦粉や赤ワインなどを煮詰めて作る、デミグラスソースをベースとしているのでしょう。

 

それから、薄い衣をまとった黄金色のカツに、高く積まれた千切りキャベツ。

まさに洋食屋さんの欧風カレーですね。

 

バランスが整い過ぎて、もはや味が思い出せない

そして、肝心のお味は。

めちゃくちゃに美味しい!

口に入れた瞬間から最後の一口までずっと美味しい。

ベストオブカツカレーと言っても差し支えないでしょう。

 

その味わいを具体的に言うと…

えーっと…

 

 

 

…すみません、正直に言います。

 

全然覚えていません!

 

いやいや紹介する記事なのに味を覚えていないとかどういうつもりだよふざけんなよSAKAI、3回土下座してターメリックにまみれとけと言われても仕方ないでしょう。

いやはや本当に申し訳ない。

 

 

さすがにこれだけじゃ記事にならないので…

なぜ僕が味を覚えていないのか、というところを深掘りしていこうと思います。

 

 

そもそも記憶に残る味って、どういうタイプの味付けだと思いますか?

 

僕は、「突出したなにかの要素を感じる味」だと思うんです。

すごく辛い、すごく甘い、すごくオイリー、すごく香り高い。

カレーだと、そういう飛びぬけたなにかがあると印象に残りやすいですよね。

 

でもこれは、「本質的な美味しさ」とはまた違うベクトルなんです。

 

キッチン南海のカツカレーは、辛さ・あまみ・コク・苦み・香りのバランスがめちゃくちゃに整っています。

 

よくあるチャートで表すと、5つの要素が完全に調和した正五角形ですね。

だから、口に入れた瞬間に暴力的にうまい!と感じる。

でも、バランスが整い過ぎて、味自体の印象は残りにくい。

 

僕があんなに感動したのに味を思い出せないのは、たぶんそういう仕組みなんだと思います。

 

定期的にこの味が食べたくなる、確かめに行きたくなるっていうお店は、そういう味付けを意識しているんじゃないかな。

 

深みやコクで勝負した、暴力的な美味しさ

さらにもう少し深掘りしていきます。

こちらのカツカレーは、塩味や甘みが比較的抑えられています。

おそらく、意図的にその要素を極力そぎ落としているのでしょう。

 

感じるのは炒めた玉ねぎと、牛骨やスジを煮込んで作るフォンドボーの旨味。

これらが作り出す、コクや深みで勝負しているんです。

 

このチューニングによって、「正五角形の味わい」を実現しているのではないでしょうか。 

(たぶん。あんまり覚えてないけど…)

 

 

なにかに突出していないというのは、つまり誰にでも好かれるってこと。

僕は、自分の知り合い全員にすすめたいお店なんてほとんどありません。

味の好みは千差万別だから、全員に合うお店なんてそうそうないんです。

 

でもここは別格。暴力的に美味しいから。

僕の知り合い全員に行ってみてほしい。

全員にこの味を体験してほしい。

そして全員に、このお店を紹介したことを感謝されたい。 

 

 

なんでそんなに安いんだ

これだけ手放しで絶賛しておいて、でもめちゃくちゃ高級店だったらちょっと萎えますよね。

 

でもね、安心してください。

なんとこのカツカレー、750円で食べられます。

 

牛骨からコトコト出汁を取って、小麦粉を丹念に炒めて、香味野菜と赤ワインを煮込んで、丁寧に衣をつけたカツを揚げているのに!

こんなに非日常的な、手間暇かけた料理なのに!

たった750円という、ハンパなく身近な値段で食べられるんです…

 

これはもう、奇跡と言ってよろしいでしょう。

神保町で出会える奇跡。

ねえ、これはもう、行かずにはいられないんじゃないですか?

 

現在は移転して営業しています

 

そんな僕の溺愛するキッチン南海さんですが、実は2020年6月、建物の老朽化によって閉店してしまっているんです。

 

あのノスタルジックなお店にはもう行けないんですね…

 

でも、安心してください。

旧店舗で20年間修行した方が、同じ神保町で新店舗を出店しています!

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店構えは新しくなりましたが、メニューや値段はほぼ同じまま。

カツカレーも、相変わらず750円で食べられます。

 

普段はエスニックなカレーを食べることが多いという方も、たまにはこちらに足を運んでみてください。

きっと、好みとかどうでもよくなるくらいの美味しさに出会えます。

 

僕も、あの暴力的な味を思い出しに近々行こうかな。

 

キッチン南海の基本情報

 

 

 

 

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気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。