カレー屋SAKAIのスパイス日記

カレー屋を営むSAKAIが、プロ目線でカレーを語ります。

SAKAI、マレーシアでカレー修行

こんにちは、SAKAIです!


愛知県一宮市で、カレー屋「CURRY THE KITCHEN」を営んでます。

 

curry-the-kitchen.com

 

 

 

前回は、僕のお店「CURRY THE KITCHEN」を開くまでのお話でした。


前回までの記事はこちらからどうぞ。

僕がカレー屋を始めたわけ① - カレー屋SAKAIのスパイス日記

僕がカレー屋を始めたわけ② - カレー屋SAKAIのスパイス日記

 

今回はタイトルの通り、SAKAIがマレーシアでカレー修行するという話です。

急展開過ぎる!

 

 

 


なんとなく行き詰った感が拭えない時期

 

前回お話ししたように、「CURRY THE KITCHEN」は2011年3月20日にオープンしました。

 

飲食店経営の経験なんてなくて、開店準備も営業もすべて手探り。
本やネットからの知識をもとに独学でカレーを作り、日々の営業をこなしていました

 

僕のお店の近くには、大きな会社や市役所などがあります。
そんな恵まれた立地も手伝って、幸いにもお客様は着実に増えていきました。

 

経営状況は良好。
でも正直なところ、自分の作るカレーに心から満足できない。
もっとできることがあるはず。もっと美味しいカレーを作れるはず。

 

ほんのりとした行き詰まり感というか、なんとなくもやもやとしたものを抱えていたのです。

 

そんなふうに試行錯誤しながら過ごすこと3年2カ月。
大きな転機がやってきました。

 


マレーシア行きを即決

 

それは、学生時代の友人に招待された結婚式でした。
たまたま同席した僕の先輩が、マレーシアでビジネスをするパートナーを探していたんです。

 

数年ぶりに再会した先輩は言いました。
「マレーシアでさ、カレー屋やりたくてさ。現地に行ってくれる人を探しているんだよね」


先輩は、僕がカレー屋を営んでいることを知っていて言ったのではありません。
ただの偶然。というかミラクル。

 

僕はこたえました。
「先輩。嘘かと思うかもしれませんが、僕いまカレー屋やってるんですわ」

 

先輩
「そうなんだ。じゃあ一緒にやる?」

 


「あ、やります」


はい、ものの5分でSAKAIマレーシア行き決定。


いや、即決する僕も僕だけど、先輩も先輩だわ。
でも、物事が動くときって、あっけないくらいスピーディーに動くもんなんですよね。


先輩とそんな会話をしたのが2014年3月1日。
7月にはマレーシアで働いていました。


マレーシアで働く間、「CURRY THE KITCHEN」は休業することに決めました。
でも、お店は残したまま。
もちろん、毎月の家賃は発生します。
帰ってきたときにまた同じ場所で再開したかったから、そう決めたんです。

 

マレーシアに行くことが、きっとこの店にいい変化をもたらしてくれるはず。
そう信じて旅立ったのです。

 


マレーシアで3店舗を立ち上げる

 

マレーシアでは、現地の実働部隊として陣頭指揮を取りました。

 

仕事内容は、お店の物件決めから求人募集、メニューの考案、実際の営業など全て。
慣れない業務も多かったので、もちろん大変です。
でも、すべてが新しい刺激に満ちていて、やりがいと楽しさを感じていました。

 

お店は首都クアラルンプールの、70席ほどある広い店舗でした。
提供するメニューは日本風のカレー、それから豆腐サラダとかハンバーグとかクリームコロッケとか。
内装は、カフェバーのようにちょっとおしゃれにして。
お酒やスナック類も充実させて、さまざまなニーズに応えられる店に仕上げたつもりです。

 

1軒目のオープン後には、他にも2店舗の立ち上げと運営に関わりました。
その間約1年半。
個人店にはない視点を学べて、海外ならではの出来事もあったりして、本当にいい経験を積めたと思います。
この時間は、本当に自分にとってかけがえのないものです。
飲食店を営む上での視野が広がりました。

 


現地スタッフが作るまかないカレーが衝撃的にうまい

 

たくさんの学びがあったマレーシア生活。
そのなかでも特に、僕のカレー人生に大きな影響を与える出会いがありました。

 

それは、現地スタッフの作る「まかないカレー」。
日本式のカレーに慣れていた僕にとって、彼らの作るカレーは衝撃的だったんです。


それはもう、僕が知っているカレーのレシピと何もかもが違いました。

 

まず、オイルたっぷり。
日本人の感覚だと引くほどたっぷりです。
トプトプと入れます。

 

それから、スパイスもたっぷり。
辛味があるものもそうでないものも、どっさり豪快に入れます。

 

反対に、玉ねぎとトマトはほんの少し。
日本のカレーは、玉ねぎを炒めて甘さとコクを出すのがキモなんです。
だから、玉ねぎはたっぷり使うのが基本。
このバランス感は、日本人には思い浮かばないですよ。

 

日本人的な感覚で表現すると、「スパイスで味付けした油っこい肉野菜炒め」といった感じ。

 

いや、びっくりするでしょ、これは。
これがカレー?って感じでしょ。

 

でもね、これが毎回めちゃくちゃ美味しいんですよ。
まかないだから、そんなに豪華な食材を使うわけではない。
でも、毎回めちゃくちゃ美味しい。
僕のカレーに対する概念が、ガラガラと音を立てて崩れていきました。

 

そして同時に、僕は思い至ったんです。

 

これだよ。
これなら、自分が心から美味しいと思ったものをお客様に食べてもらえる。

 

そう。彼らの作るこのカレーの味を、日本の店「CURRY THE KITCHEN」へ持ち帰ることにしたんです。

 


自分の料理に自信を持てる幸せ

 

そんなわけで、帰国後はあのまかないカレーを取り入れたカレーを作り始めました。

 

それから5年半。
自画自賛できるほど美味しいカレーが作れています。
なんとなく行き詰まっていた、自分のカレーに自信を持てきれなかったあの頃が嘘みたいです。

 

でも、あの経験があるからこそ、自分の料理に自信を持てることの幸せをひしひしと感じているんです。

 

いや、絶対プロに習った方がいいですよ、プロとして商売するなら。
それがお客様を満足させる近道ですからね。

 

ただ、僕は遠回りした経験も悪くなかったなぁと思っています。
そもそも、そうでなければマレーシアに行かなかったかもしれない。
また、自信を持って提供できることがいかにありがたいことが、気付かなかったかもしれないから。


そんなわけで、僕はお店をオープンさせるたびに幸せを感じています。
美味しいカレーを作ることができて、その美味しいカレーを食べてくれるお客様がいて。
もうそれだけで幸せ。最高。

 

人生の経験はすべて繋がっています。
現状に満足せず、もっと何かできないかあがいてみるのも大事。
ただ、その時は苦しくても、時間差でリターンがくることもあります。

 

たくさん努力したり工夫した後は、えいっと思い切って感覚で動いてみるのもいいかもしれませんね。


今回はここまで。
それではまた!

 

 

 

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